信頼される品質

品質に関する方針・考え方
製品の評価やパワートレインメーカーのブランド価値は、お客さまからの品質評価で決まるといっても過言ではありません。技術革新がめざましい現在、お客さまが求める品質のレベルはますます高まっています。世界経済の構図が大きく変化し、各地で都市化が進行する中、モビリティに対するニーズも増加しています。
ジヤトコは、世界中の人々にモビリティがもたらす豊かさを提供する使命を果たすとともに、お客さまに満足していただける品質を常に提供することもパワートレインメーカーとしての重大な責務であると考えています。品質を会社全体の課題と捉え、製品の企画から開発、生産、物流、販売、アフターセールスなどお客さまとかかわるすべてのシーンで、高い品質を提供するために活動を続け、お客さまに信頼される企業になることを目指しています。
一言で品質といっても内容は多岐にわたります。ジヤトコでは、製品そのものの使用感から、製品に不具合が発生した際の対応など、製品にかかわるすべてのシーンで高い品質を提供するために、部署や地域を超えて連携しながら全社的に取り組んでいます。
ジヤトコはお客さま中心の考えのもと、「長きにわたりジヤトコ製製品をお選びいただくために、お客さまの声を第一に、深い満足を感じていただける製品やサービスの品質を向上すること」を目標に、「製品品質」と「サービス品質」の両面から取り組んでいます。製品そのものの「製品品質」は、お客さまに長く安心して快適に製品を使っていただくための基本となる品質です。
お客さまにお届けする製品の「初期品質」、長くお使いいただいている間に感じる「耐久品質」など、製品のライフサイクルすべてにおいてお客さまの期待に応えられるような品質の提供を目指しています。
また、お客さまへの対応の質を追求する「サービス品質」では、ディーラーでの点検や修理のしやすさを追求する活動を行っています。
すべてのプロセスにおいてお客さまに満足いただくために、ジヤトコではお客さまの声を取り入れて、社内全体にフィードバックする取り組みを導入しています。
品質方針

品質に関するマネジメント
ジヤトコは、お客さまの安全確保と常に満足していただける品質の提供が、重要な課題であると捉えています。信頼される企業として持続的な成長を実現するため、グローバルで品質向上の推進体制を構築し、全従業員が一丸となって活動に取り組んでいます。多岐にわたる品質向上活動の責任者やプロセスは、IATF16949に準拠した品質マネジメントシステムで明確に定められ、グローバルに適用されています。そしてそれらすべての品質項目に対して、品質管理の徹底につながるよう、必要に応じて適宜マニュアルを改訂しています。また、品質マネジメントシステムを構築し実施していくための指針についての研修を毎年実施。この研修は全従業員必須のものとしています。
なお、生産拠点において、13全ての拠点がIATF16949の認証を取得しています。
品質に関するマネジメント体制
ジヤトコでは、品質においてトップレベルになるという目標を達成するため、品質最高責任者に品質専任の執行役員を選任しています。品質最高責任者を議長とする品質委員会を毎月開催し、各部門の役員が参加し、製品品質およびサービス品質の課題の迅速な解決と改善活動を推進しています。
また、コンプライアンスの徹底を実現するため、3層構造のモニタリング・監査体制を構築し、監査活動の強化に取り組んでいます。第1層は、各部門が法令や基準の遵守に責任を持ち、モニタリングを実施します。第2層は、コーポレート品質保証部が法令や基準の遵守に関して監査を実施します。第3層は、内部監査室がリスクに応じた年度計画に基づき監査を行います。
品質向上への取り組み
お客さまの声を品質向上活動に反映
お客さまの期待する価値を提供するとともに、お客さまの感じる不満などに迅速に対応するため、お客さまからのすべての声に耳を傾け、開発からサービスに至るあらゆる品質の改善活動に反映させています。
お客さまの声への迅速な対応とタイムリーな情報共有
ジヤトコでは、自動車メーカーを通じお客さまからの問い合わせや相談に応えています。
また、市場でのお客さまの声は、いつでも従業員が閲覧できるよう社内のイントラネットに掲載し共有しています。
お客さまの声を製品やサービスに反映
市場でのお客さまの声は、企画、開発、生産、販売など、あらゆる部門で確実に共有し、製品やサービスに反映する仕組みを整えています。故障ではないものの、お客さまが不満に感じている要素も製品の品質を左右します。ジヤトコでは、お客さまの不満に応えることも品質向上活動の対象と捉え、改善に取り組んでいます。
お客さまが製品に求める期待値は、地域、年齢、嗜好などで異なり、製品の普及度や気候など市場特性の影響を受けることもあります。ジヤトコはグローバルデザインを基本仕様としながらも、地域のニーズに合わせた対応も行っています。
この役割を担うのが、チーフクオリティエンジニア(CQE:Chief Quality Engineer)です。CQEは企画段階から製品づくりに参画し、お客さまの不満や不具合の低減に取り組んでいます。
お客さまの声は市場情報などから抽出し、企画・開発工程から優先順位を決めて対応策を検討して、製品やサービスに反映するように努めています。
お客さま視点を醸成するための取り組み
従業員一人ひとりがお客さまの視点に立ち、「お客さまに信頼され続ける高い品質の実現」を意識して業務に取り組むことが重要であると考え、マインド醸成の全社研修や日常的にお客さまの声に触れる機会を持つ取り組みなど、さまざまな活動を推進しています。
また、役員、従業員を対象として、品質の現状や市場のお客さまの声、お客さまの声からの改善活動、目標達成に向けての活動をパネルや映像、実際の部品の展示で紹介する「ジヤトコクオリティフォーラム」を2006年より実施しています。開発からサービスにかかわるすべての部門で共催し、近年では、よりお客さま視点で考え、行動につなげられるよう、体感型のイベントを取り入れています。
さらに、従業員の声を品質向上活動に反映するため、役員と従業員が直接対話する機会も設けています。2023年には国内外で実施し、2,500人以上が参加しました。
グローバルで働く従業員に対し、品質の重要性とお客さま意識を高める取り組みを行っています。


「製品品質」の向上
「製品品質」とは、お客さまに長く安心して快適にご使用いただくための基本となる品質です。日本の “モノづくり”を担ってきたジヤトコにとって、「製品品質」は企業の持続性を支える土台になるものです。常に品質をお客さま視点で考え、不具合が発生した場合は迅速に対応し、不具合の再発防止に努めています。また、お客さまの不満を確実に把握し、その解消に向けてあらゆるプロセスで対策活動を実施することで、一人でも多くのお客さまに満足いただけるよう「製品品質」を向上させています。
市場品質改善活動
市場での迅速な品質改善への取り組み
ジヤトコは、自動車メーカーを通じて販売会社や「お客さま相談室」などに入ったお客さまの不満や不具合の状況を把握し、開発や生産部門と情報を共有し、原因究明・対策検討などを実施して、不具合の流出防止を促進するなど、恒久的な対策をとっています。
また、ジヤトコの企業活動がグローバルに拡大するのに伴い、不満や不具合も世界各地で発生する可能性があります。そうした不具合を現地で迅速に解析し要因を分析するため、ジヤトコでは日本、米国、フランス、スペイン、中国、韓国、メキシコ、タイの計8ヵ所に調査拠点を設けています。同調査拠点では5つのフェーズに分けて市場品質の調査・解析活動を実施しています。
5つのフェーズでの市場品質調査・解析活動の概念図

初期品質の向上
お客さまに高品質の製品をお届けするための取り組みを強化しています。品質が改善できていることを工程ごとに確認し、発生する可能性のあるリスクも企画段階から可視化してリスクを緩和する方策を検討しています。こうしたすべてのプロセスを透明性のある判断で実施することで、新製品立ち上げ時から高品質を保証しています。
耐久品質の改善
お客さまに長く快適にクルマに乗り続けていただくために、長年の使用によって生じる経時劣化に対する取り組みを推進しています。ジヤトコでは保証期間中はもちろん、保証期間後に発生する不具合も低減するため、実際にお客さまが使用された中古車・部品を回収して品質確認を実施し、不具合の早期検出に活用するなど、さまざまなデータを入手・分析し、劣化しにくい技術の開発を強化しています。
重大な不具合への公正・迅速な対応について
製品の不具合を発生させないよう最善を尽くすことが責務と捉えると同時に、複雑な工業製品であるパワートレインづくりにおいて、万が一のときに備えることも私たちの責務です。ジヤトコでは透明で公正・迅速な対応を基本姿勢としています。具体的には、お客さまの安全確保とお客さまへの迷惑を最小限に抑えること、法令遵守を最優先に、迅速な改修につなげています。
パートナーとの取り組み
部品の品質や供給に関するリスク対応を含め、ジヤトコはパートナーと協働しながら、すべての生産拠点において、部品の設計段階から品質向上に取り組んでいます。
パートナーと推進するリスク評価・低減のマネジメント
グローバル品質マネジメントの強化を進めるとともに、パートナー各拠点における生産工程の品質管理状況を現場・現物で確認し、ジヤトコの要求レベルを満たすことができるようにパートナーの改善活動を支援しています。
また、ジヤトコへ部品納入しているパートナーのみならず、その構成部品を生産する二次パートナーまで巻き込んだ共同改善活動を行うなど、さまざまな品質向上策に取り組んでいます。
製品安全・品質向上のためのサプライヤーの監査・トレーニング
ジヤトコは、製品安全を確保するため、製品のみならず納入部品についても、パートナーと協働しながら監査を実施しています。
パートナーからひとつの部品がジヤトコに納品されるまでには、企画段階の確認から、設計の図面製作、試作品づくり、性能確認、量産体制の確保など、さまざまな工程が必要です。ジヤトコでは、この一連の流れにおいて必要な品質保証活動を取引先のための品質管理基準として規定し、すべての部品、一つひとつにおいて実行することで正確な部品が納品される仕組みを整えています。ジヤトコでは独自のパートナー品質評価基準であるパートナーヘルスチェックに準拠しパートナーの支援を行っています。良品・不良品の明確な識別方法の有無、トラブル防止の仕組みの確認など、パートナーの作業現場を確認します。
また、製造工程のみならず、部品材料についてもパートナーと連携した品質管理体制により、すべての部品について材料認証を取得していることを確認しています。すべてのパートナーには取引先のための品質管理基準のトレーニングを実施し、パートナー内で展開、実行することで、正確な部品が納入される体制を構築しています。
また、パートナー向けスコアカードによる納品品質や市場品質などの診断と、マネジメント体制を確認するパートナー向け工場監査を実施しています。これにより、良質な部品の安定供給の仕組みや継続的な品質改善活動の実施状況を定期的に確認しています。
「サービス品質」の向上
ジヤトコでは、点検・修理方法の最適化に取り組んでいます。具体的には、交換部品を最小限に抑えることによるお客さま負担の軽減や、点検、修理方法の最適化によるディーラーの修理負担の軽減など、早く・安く・確実な修理方法を提供しています。