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2003年4月1日

合併記念式典 会社代表挨拶(要旨)

自動車用変速機(AT・CVT)の専門メーカー、ジヤトコ株式会社(社長:小島 久義、本社:静岡県富士市、資本金:299億3,530万円)は、本日付のダイヤモンドマチック株式会社との合併にあたり、全社各事業所において、合併記念式典を行いました。
合併記念式典での、会社代表挨拶の要旨を下記のとおりお知らせいたします。

《2003年度を迎えるにあたり》
皆さんおはようございます。2003年度を迎えるに当たり、又ダイヤモンドマチック(以下「DMC」)とジヤトコが正式に合併をする日に当たりご挨拶を申し上げます。皆さん既にご承知のように、本日からジヤトコにとってたいへん大きな転換期となる2003年度(平成15年度)がスタートします。
本日は、昨年度の振り返りと当年度の目標、並びに方針についてお話したいと思います。
新年の挨拶の中でも申し上げましたが、世界の経済情勢は相変わらず不透明ですし、日本経済は依然として低迷しています。イラク情勢は世界経済にとって大きな打撃とならないことを祈るばかりです。また、北朝鮮問題というきな臭い状況も継続しているのが私どもを取り巻く環境と言えます。
こういった世界情勢ですが、ジヤトコにとっては今年が先ほども述べましたように、大きな転換期になります。それはこれから申し上げる様に経営環境が大きく変化することが予想されるからです。これから具体的に申し上げます。

【経営環境の変化】
「ダイヤモンドマチック社との合併」
まず、DMCとジヤトコが本日合併します。DMCの皆さんは昨年4月の分社以降、新しい環境でいろいろご苦労をされながら今日を一つの目標として準備されてきたものと思います。今日からは文字通り'One Jatco'、新生ジヤトコの仲間として皆さんを歓迎したいとも思います。一緒に新生ジヤトコをすばらしい会社にしていきましょう。
今後は、関連する部門とのコミュニケーションをさらに密接にし、皆さんが築きあげた良い点を伝えてください。同時に、ジヤトコが持っている良い点も学んでください。
ジヤトコの事業規模は合併により大きく飛躍します。昨年度の台数をベースに試算しますと、ジヤトコが、約260万台、DMCが約90万台ですから合わせて350万台の規模となります。
そして、ジヤトコ連結での日産自動車への販売台数が50%を下回り、三菱自動車への販売台数は25%程度となります。即ち、DMCとの合併により規模が大幅に拡大するだけでなく、事業構造も大きく変化するわけです。

「生産拠点の拡大」
第二に、生産拠点の面から見ますと、今までのジヤトコが静岡県だけであったのに対して、DMCの拠点を加え、本州の太平洋ベルト地帯に幅広く生産拠点を持つ会社になります。

「富士AT」
最後に、今年の1月から活動を開始していますが、サブコンパクトカー用CVT生産のための新会社、富士AT(株)が設立され、当社と富士重工の共同事業としてCVTのラインナップの一部を担当してもらうこととなります。

このように当社を取り巻く経営環境は今年をスタートとして劇的に変化することとなります。この変化を絶好のチャンスととらえ、ジヤトコを大きく成長させるとともに、体質を強化し、仕組みを整えていきたいと思います。

【2002年度の振り返り】
次に、2003年度の目標あるいは方針に入る前に、2002年度について若干振り返ってみたいと思います。

「収益」
2002年度のジヤトコの営業利益は、あくまでも現時点での予測ですが、当初目標値に到達する見込です。

「ユニットの収益改善」
次に、収益に一番関係の深いユニットの問題ですが、UPD(Unit Program Director:ユニットプログラム ダイレクター)の活動も始まり、ユニットの収益は徐々に改善されつつあります。前回、皆さんにお話した後、量産ユニット全てについてUPDを設けました。

「品質」
品質については2002年度に何度も皆さんに繰り返しお願いしてきました。皆様の努力により、品質水準は向上してきております。しかし、より一層の向上の余地はあると思います。

「技術工数」
技術工数の問題については何回も論議をしてきましたが、残念ながら十分に対策できたとは言えません。本年度も引き続き商品計画の見直しとともに技術者の確保あるいは効率向上を図っていきたいと思います。

「安全」
安全については格段に改善されました。各事業所の安全担当者は勿論、関係する管理監督者の皆さんにお礼申し上げたいと思います。休業災害は2002年度はゼロになりました。不休災害は2001年度の3分の2に減少しましたが、さらに減らして行く努力が必要です。

「ダイヤモンドマチック」
さて、DMCはジヤトコと同様、今日現在は見通しの段階ですが、当初の営業利益目標を達成できる見込です。三菱自動車からの独立、ジヤトコグループへの参加と大きな環境変化の中で、計画した実績を上げる目処がついてきたことに対し、お礼申し上げたいと思います。

【2003年度の目標と方針】
さて、2002年度の振り返りはこの程度にして、2003年度の目標と、それを達成するための方針についてお話ししたいと思います。まず、経営目標は次に示す4項目の内容としました。

営業利益率の向上
実質借入金の削減
重大クレーム件数の削減
災害全度数率の低減

目標値については皆さんの上司と確認し、個人の目標とどう関係するかを確認して2003年度のスタートを切ってください。

これらの目標を達成する為に5項目の社長方針を策定いたしました。

第一に、「統合効果を発揮できるマネジメントの質の向上」です。
これは商品、品質、管理等すべての面においてDMC統合によるシナジー効果を生み出すことを意味します。「機種統合」、「よいとこ取り」、「ボリューム効果」などが開発、調達、生産各部門を始めとして全社のキーワードになります。また、全社的な活動であるCFT(Cross Functional Team:クロス・ファンクショナル・チーム)活動、DQR(Direct Quick Response:ダイレクト・クイック・レスポンス)活動を推進し、経営課題解決を促進します。さらに、役員、部課長は本年度のコミットメント、ターゲットを明確に設定して挑戦していきます。
DQRについては皆さんに耳慣れない言葉ですので多少補足します。私は各部署別に職制と6ヶ月に1回程度直接意見交換会を実施することにしています。この中では大小様々な課題が抽出されますが、DQRはこれらの課題を整理して分類し、論議していこうと考えています。これを今後ジヤトコの主要な活動と位置づけていきますが、呼びやすいように活動の名称をDQRとしたわけであります。現在、約90の課題をフォローしています。具体的なプロセスについては今後展開いたします。
また、CFTについては、この2月に7番目のグループとして部品種類削減に取り組んでもらうCFT#7を発足させました。パイロット、クルーの皆さんはもちろん全社の皆さんのサポートをお願いします。

第二に、「顧客に信頼される品質の向上」です。

第三に、「高収益体質づくりの推進」です。
2002年度開始したUPD活動を徹底して実行します。コスト低減についてはJEPS(JatcoExcellent Production System:ジヤトコ・エクセレント・プロダクション・システム)活動を進化させるつもりです。JEPS活動をジヤトコの生産部門だけの活動に止めず、社内の他部門、社外にも拡大したいと考えています。社内のJEPS活動はレベルアップをはかります。また、海外のサプライヤー、DMCサプライヤーの活用も推進します。

第四に、「魅力ある商品開発と生産の推進」です。
新商品の円滑な開発、生産立ち上げを推進します。先行開発組織を順次強化し、先回り開発を促進しますまた、生産の海外展開、富士AT等の新規プロジェクトの準備を通して商品を作りこんでいきます。

最後に、「ESの向上とゼロ災害の追求」です。
安全水準をさらに向上させること、また、地震対策と製造、間接部門双方の作業環境対策を実施することによりES(Employee Satisfaction)の向上をはかります。福利厚生施設の充実も逐次行って行きます。

以上、2003年度の目標と方針をお話しましたが、次に、ジヤトコの中期課題について若干私の考えをお話ししたいと思います。

【中期課題】
中期の当社のあるべき姿を簡単に言いますと、AT・CVTの商品力で業界トップ、また生産台数だけでなく、収益力においても業界トップクラスを目指します。

今申し上げたことは言い換えればジヤトコの企業理念の実現です。是非ジヤトコスピリットでこの企業理念の実現を図っていこうではありませんか。

経営ビジョンとして制定している 'Intelligent Powertrain System Supplier' について私の思っている解釈を言いますと、Intelligent Powertrain Systemとして車両制御と融合し性能がトップレベルである先進的なシステムの提供ができること、また、Intelligent System Supplierとして世界最先端技術の提供、QCDレベルがトップであること、車の機能をよく知り、自動車メーカーの戦略的パートナーであること、会社として先進的な仕組を持ち、働き甲斐のある職場であることなどを意味します。
そのためにはQCDのレベル向上、CS、ESの向上、先行技術開発の促進が肝要です。同時にグローバルな企業であることが前提となります。即ち、グローバルなお客様ベースを持つこと、社員の意識がグローバルであることです。

【組織変更と役員体制の変更】
4月1日に組織変更と、役員体制の変更を実施しましたので、この件についての説明を少ししたいと思います。従来6月末に行っておりましたが、新しい組織で2003年度のクリーンスタートを切る為に4月1日付で実施したものです。
その内容については既に展開しておりますが、新しい組織は、ジヤトコとダイヤモンドマチックのそれぞれの組織を各機能部門別に統合しました。統合組織は作ったのですが、そこで行われる実際の業務の統合や人材の交流が行われて初めて合併の効果が出てきます。

その他の組織変更や役員分担の内容については、既に発表のとおりですが、2003年度はこの体制で社員の皆さんと一体となって取り組んでまいりたいと考えております。

【最後に】
最後に、やはり本日から、従来制定されていませんでした、ジヤトコ社章(バッチ)を造りました。
また身分証明書も将来のセキュリティ管理を視野に入れた新しいものといたしました。さらに、企業理念、経営ビジョン、ジヤトコスピリットなどを解説した小冊子も装いを新たにいたしました。会社案内についても、旧DMC事業所も含んだ統合版に改訂致しました。

冒頭にも申し上げましたが、2003年度をジヤトコの発展の為の大いなる転換期とすべく、全員が自身の目標を達成しましょう。

以 上