このページを印刷する

2002年4月1日

2002年度入社式 社長挨拶(要旨)

自動車用変速機(AT・CVT)の専門メーカー、ジヤトコ株式会社(会長兼社長:佐々木健一、本社:静岡県富士市、資本金:299億3,530万円)は、2002年4月1日(月)9:00から、本社本館1F多目的ホールにおいて、2002年度入社式を行い、その式の中で、社長兼会長が新入社員(128名)に対し述べた挨拶の要旨を下記のとおりお知らせいたします。

皆さん入社おめでとうございます。

入社式のときには、だいたい皆さん方をお迎えするご挨拶としては、昨日までは学生でしたね、今日からは社会人として独り立ちすることになった心構えをいろいろ言うというのがしきたりだと思います。確かに皆さん方今まで学校にいて、どちらかといったら奉仕を受ける側にいたと思いますし、今日からは逆に皆さん方が奉仕する立場の方に変わるという立場の変化はあると思いますが、そう緊張することはないと思います。自分にできることを、自分が良く理解できることをしっかりと実行するということについては、少しも変わらないわけです。ただ、学生時代に比べると学生時代はやはり自分の周りに仲間、友達がたくさんいます。何か宿題が出ても、あるいは卒業設計みたいなことでわからないところが出てきても、お互いに助け合って、勉強を進めるということが今までできてきたと思います。そういう意味では学生時代というのは、自分の周りに仲間がたくさんいて、心強いと思っていたと思います。

たぶん皆さん方会社に入ると、新しい環境に入るわけですからそう仲間が最初からたくさんいるわけではありません。ですから、心細い思いをいろいろすると思いますが、会社の中も基本的には同じ人間の集団ですから、わからないことがあったら、すぐに聞いて、よく理解するということでどんどん仲間を増やしていくようなことを心がけていると良いと思います。周りの人たちはそれぞれ忙しく仕事しているように見えますから、今聞いては悪いのではないか、仕事の邪魔をしてはいけないかなというように遠慮するかもしれませんが、一度聞きそびれるとそのことを周りは、ちゃんとこの人は知っているんだと思ったりするものですから、だんだん聞きそびれて、後になってから聞くと、今ごろまだわかっていなかったのかと思われるのがおちですから、とにかくその場でいろんなわからないこと、課題にぶつかったら、その場で解決していくんだというつもりで、取り組んでいけば職場にも非常に早く、溶け込めると思いますし、一人ぼっちでさみしい思いをすることもないと思います。皆さん方お迎えする職場の人たちは、是非一日も早く職場に溶け込んでいただきたいと思ってると思いますし、また、いろんな形で皆さん方を支援し、わからないことについては、教えることをやぶさかではないと思っている人たちばかりですから、そう緊張しないで早く職場に溶け込んでいただきたいと思います。

皆さんお入りになった会社、最初は、皆さん方手続きなさっているときには、ジヤトコ・トランステクノロジーといっていたと思いますけれども、今日から当社も名前を変わりまして、「ジヤトコ株式社」というふうに変わりました。ですから会社そのものも、皆さん方と一緒に新しく出発するということになりますから、親近感を持っていただきたいと思います。

このジヤトコという会社は、皆さん方もうご存知のとおり、自動車用の自動変速機をつくっています。自動変速機をつくっている専門の会社は、世界中で大きいところでは3つだけであります。私どもとお隣の県にありますアイシンAW、ドイツにあるZFの3つが自動変速機を専門につくっている会社ということでは、ビッグ3になるわけですけれども、その一つに皆さん方が今日からお入りになって、これから世界中の自動車会社の技術屋さんあるいは工場で生産なさっている方々をお客様にしてこれからいろんな仕事を活動していっていただくことになるわけです。

私どもの会社は今日から名前が変わりましたといいましたけれども、実は、ジヤトコ・トランステクノロジーとして出発したのも1999年の10月ですから、今から2年半くらい前、まだ若い会社です。その前を溯っていきますと、当時の昭和18年に設立されたといっていますけれども日産自動車の富士工場、当時は吉原工場ですね。そこで仕事を始めて以来ですから60年超えるくらいの歴史があります。そのほとんどは、自動変速機、当時は自動変速機がなかったのでマニュアルトランスミッションをつくっていましたし、1970年にはジヤトコという会社ができて、ここは自動変速機を専門につくる会社ということで2つの会社が力をあわせながら、マニュアルミッション、自動変速機というのを主に日産自動車のグループに提供するということで仕事をしてきたのですが、先ほどいいましたとおり1999年10月に新しい会社として生まれ変わって、今では、日産自動車だけでなく、世界中の自動車会社に独立した形で自動変速機を提供するという活動をすることになったわけです。

そういう形でスタートいたしますので、皆さん方も是非自動変速機というものになじんでいただいて、これから世界中の自動車会社の人たちと一緒に仕事をするということに取り組んでいただきたいと思います。

その活動の一つとして、例えば日産自動車グループだけでなく、新聞等で皆さんも聞いているかもしませんが、この4月から、三菱自動車工業が自動変速機部門というのを分社して独立な会社にスタートさせました。ここは、私どもと同じように自動変速機の開発を行い、生産をするという会社ですけれども、この会社とは、今年の7月以降、同じ事業を営むもの同士ということで、事業統合をして共同活動をすることになります。さらに、今韓国の現代という自動車会社と組んで、自動変速機を生産する専門の会社をつくっていこうではないかという準備もしています。そういう形でこれからこの自動変速機を中心にして世界中に活動の場が広がっていくと思いますので、皆さん方もある意味では、将来に対して非常に発展の期待が持てるところに一緒のグループとして活動することになったということですので、将来に対しても明るい期待をもって取り組んでいただきたいと思っています。

入社式のご挨拶というのはだいたい、硬い話が多いですけれども、今日は少しおもむきを変えて、皆さん方に一つ一緒に考えてもらいたい問題を持出したいと思います。先ほど皆さん方に入社おめでとうと申し上げました。ジヤトコという会社に皆さん方入社されたわけです。会社って何でしょう。先ほど皆さん方門を入ってきて、この建物に入りましたから、会社の場所はここですね。じゃあ、この建物が会社かといったら、建物が口をきくわけではありませんから、決して会社ではないと思います。皆さん方がこれから仕事を始めると例えば朝8時に来なさいとか、8時30分から始まりますよと言われると思います。ではそれは一体誰が決めたんだというと会社の決まりですと多分答えが返ってくると思います。あるいは皆さん方が仕事をするときに、こういう手順で仕事をするんですよ、と多分教わると思います。こういうやり方で設計して下さいと教わると思います。ではそういうのは誰が決めたんですか、これは会社で決めているルールですとか、会社が決めてる方法ですとかということが返ってくると思います。もっというと、皆さん方のお給料、誰が決めたんだ、と会社が決めましたというと思います。しかし、いたるところに会社が出てきますが、ではその会社っていったい何だろうか。たぶん皆さん方に直接話しをする上司の方がいますから、皆さんから見ると上司の方が会社を代表しているように見えると思います。しかし、その上司の人に誰の命令で動いているのかと聞くと、またその上の例えば課長さんとか部長さんとかそういう答えが返ってくると思います。じゃあそれも順繰りにどんどん追っかけていくと役員の人たちが会社かと、役員に聞くと今度は社長が会社かという答えになっていくと思います。

皆さん方からご覧になって役員は特別な顔をした人たちかと、そんなことはないし私自身も皆さんから見て特別に顔をしているかというとそんなことはありません。たぶん皆さん方のお父さんくらいには見てもらいたいなと思っていますけど、ごく普通の人間です。そうすると本当のところ会社にいろんな決まりだとかルールだとか方針だとかどうやって決めていくんだろうかというと私自身は社長という役割でこの会社を運用するあるいは会社としてのいろんな役割を果たしていくところについては関わって、その社長としての役割を果たしているわけです。逆にそれぞれの立場にいる人たちは、それぞれの役割を果たすことで会社という活動の一端を担っているわけです。ですから、皆さん自身も今日からは会社の一部であるわけです。皆さん方が活動して成果をあげる、このやり方が非常に良いやり方だ、この仕事のやり方は非常に効率が良くて良い活動に繋がっていくというようなことがあれば、そういうところを積み上げていってルールにしたり、標準にしたりすることで会社というものは成り立っていくものであります。ですから、皆さん一人一人が会社を改善し、会社を向上させ、会社を発展させていくという役割をしていることに他なりません。

皆さん方のそうした活動を助けるためにジヤトコスピリットというものがあります。これは活動の行動指針のようなものですが、5つあって、一つはPassion 情熱。2つ目は、Skill 技術・技能。3つ目が Flexible and Speedy ということで皆さん方が仕事を進めるときに柔軟に取り組める、迅速に取り組めるということをいっています。4つ目が Teamwork、これは皆さん方一人でできる仕事それを重ねあわせていけば大きな仕事が仲間同士でできるようになります。5つ目が Open and Fair、我々の仕事というのは常に公正でなければいけませんし、お客様に向かっても良く見えていただけるように状況になければいけません。こういう5つの行動指針があるわけですが、私が一番強調したいのは、その中で、Passion 情熱です。結局これは皆さん方のやる気ということにつながると思います。先ほどいいましたように皆さん方一人一人は会社でありますから、よく世間でいう「この会社は元気がある」とか「この会社は元気がない」とか、「この会社はやる気がある」とか、いろんな言い方をされますが、それは何のことをいっているのかというと、皆さん方一人一人の活動の成果がそういうふうに評価されていると考えた方が良いと思います。その中でやはり一番大事なのは、「Passion やる気」だと思います。一人一人がやる気を持っていれば、会社というのはどんどん元気が出てきますし、大きな成果も上がってくる。ひいては良い成果が出てくれば、それこそ皆さん方のお給料も上がるでしょうし、ボーナスもたくさん出るようになると思います。よく会社がケチだからボーナスをくれないとかお給料あげてくれないとか、たぶん皆さん方もこれからいうようになると思います。この時にいっている会社というのは誰だといったら、決して私ではなくて皆さん方自身のことだと思っていただきたいと思います。そういうふうに考えてくると先ほど5つジヤトコスピリットがあるといいましたけれどもやはり私は一番ベースとなっているのは、「やる気 Passion」というのがベースになっていると思います。やる気というのをただがむしゃらに発揮してもなかなか効率よく活動につながらないので、先ほどいいましたような、技術を磨きましょう、腕をみがきましょう。迅速に動けるように、スピーディーに動けるように。自分の考えが常に正しいとは限らないですから、人の考えも良く聞いて正しい考えだったらすぐそれに適用しながら対応する、ということでフレキシブルに動く。一人でなかなかできないこともお互い力を合わせればできます。一人でどんどん独走してしまって孤立してしまうことも防げる。チームワークを大事にしましょう。自分がどういうふうに考えているか、自分はこう考えたからこう行動したんだということを常にお客様に向かってもいえるようなそういう明瞭な態度で仕事をするということも非常に大事です。

そういうことでジヤトコスピリット、いわば皆さん方が情熱を持って会社という一員となって仕事をしていくときの行動指針だというふうに思っていただければわかりやすいと思います。是非そのような局面に出くわしたときには、ジヤトコスピリットというのを思い出して、これからどういうふうに自分で考えていくかということを決めていただきたいと思っています。

例年申し上げるのですが、今までは皆さん方学校にいて、または家庭にいて、いろんな方々が皆さん方のことを気を使ったり心配したりしていてくれたと思います。会社の場合には、いろんな形で例えば健康診断とか皆さん方の上司の人が皆さん方の顔色を見てて、疲れているんではないかとか気は使ってくれますが、本当のところ自分自身の健康・状態は本人が一番わかるわけです。これから皆さん方仕事をするとき、会社の中で仕事をするときには、自分自身のことについても良く気を配って、健康状態は自分でつくりだすんだというくらいのつもりで健康にも留意して仕事をしていただきたいと思います。

たぶん皆さん方が会社に入ってきた目的というのは、いろいろあると思います。仕事を通じて自分を磨きたいということを考えた方もいるでしょうし、仕事を通じて仲間を増やして自分の生活の幅を広げたいと考えた方もおられるでしょうし、お給料をかせぐのが目的だと端的に考えて入ってきた方もいると思います。ですが、皆さん方がこれから、会社で仕事をする時間というのは、皆さん方の生活の中の何分の一にあたるかということを考えてみると非常に大きな割合になります。1年365日の内、250日近くは会社に来るわけです。そうなってくると会社の中での皆さん方の環境または仕事の生活というものが充実していなければ皆さん方はとても満足できる状態にはならないと思います。そういう意味で仕事を充実させていくということを通じて、皆さん方自身の生活を充実させて、将来に向かっての飛躍つくっていくということを是非お願いしたいと思っています。そのためにも、先ほどいいましたよいに情熱を持って仕事に取り組んでいく、あるいは周り人たちと関係を築いていくということを心がけていただきたいと思います。

これから本当に何度も何度も皆さんの周りには会社というものが出てきますけれども、会社というのは決してこの建物のことでもないし、皆さん方の上司、課長さん部長さんでもないし、役員の人たちでもないし、私でもありません。皆さん自身が会社というのを構成しているんだということをもう一度折りに触れて思い出しながら、皆さん方の生活を充実させていっていただきたいと思っています。

皆さん方のこれからの健康と発展、いろんな形で成長していくことを期待して私のご挨拶にしたいと思います。

一つしっかりがんばって下さい。

以 上