2001年10月1日 創立2周年記念式典
社長挨拶(全文) 自動車用変速機(AT・CVT)の専門メーカー、ジヤトコ・トランステクノロジー株式会社(会長兼社長:佐々木健一、本社:静岡県富士市今泉)は、2001年10月1日(月)、創立2周年記念式典を行いました。当日、同式典の中で、会長兼社長から述べた挨拶を下記のとおりお知らせいたします。 記 皆さん、おはようございます。 私達のジヤトコ・トランステクノロジーも、はや創立2周年を迎え、ここに記念式典を持つことになりました。 振り返ってみると、いくつもの山谷を乗り越えながらもここまで来ることができたのは、私共のお客様、お取引先から、数々のご支援をいただいた賜物であることに心から感謝申し上げなければなりません。それと同時に、朝早くから、夜遅くまで、或いは、夜を徹して心血を注いでがんばっていただいた皆さん自身の成果でありますことを、皆さんと共に胸を張って誇りに思いたいと受け止めております。 また、本日はこの一年間、業績において大きな貢献が認められた方々に、ジヤトコ・トランステクノロジー表彰を行います。 社長表彰9件、担当執行役員表彰21件、奨励賞40件の方々が表彰されることになりますが、受賞の皆さんには、これまでの努力と工夫に心からの賞賛と敬意を申し上げます。 さて、本日は創立2周年であると同時に、これまで日産自動車から出向していただいていた皆さんも、本日からは、ジヤトコ・トランステクノロジーに籍を移して文字どおり、全員がジヤトコ・トランステクノロジーの社員としてAT(自動変速機Automatic Transmission)モノ造りに取り組む体制がスタートする、大変意義深い記念すべき日でもあります。 自動変速機は、開発、生産技術の規模の大きさ、設備投資の大きさなどから、これまでは自動車メーカー自身でしか扱えないサイズのものであったと言えます。その為、日本や米国では、今でもほとんどの自動車メーカーが内製でATを作っているのが実態です。 ところが、自動車のモノ作りの方法が進化してきて、非常に短期間で新車の準備ができる、またはしなくてはならなくなって、従来の様に車輌計画をにらみながらAT計画を立てるのでは間に合わなくなって来ました。更に燃費規制や安全対応で、ATの種類も増やさなければならず、この両方から、手頃なATがあれば購入して新車計画に合わせたい、という動きが顕著になって来ております。 この9月に開催されたフランクフルトモーターショーでは、ルノーやフォード、BMWをはじめ沢山の自動車メーカートップの人達のお話を伺ったり、或いはコンセプトカー、新車の展示を観察したりしましたが、強く感じたことは新車の開発の仕方が大きく変わりつつあるということでした。 以前はコンセプトカーとして展示されるのは、いわばドリームカーでしたが、今は文字どおり、自分達はこういう車を作りたいというプロトタイプで、その時点で量産レベルにあるコンポーネント、或いはユニット選別が完了している様に思われます。 従って我々のATの開発、生産技術の方策、品質、工程能力の把握などは、この時点で完結していないと、その後の量産新型車の準備日程には間に合わないとも言える程になっております。 今月末には東京モーターショーが開催されることですし、皆さんも自分の目でその様な動きを是非見ていただきたいと思います。 この様な動きは、これからますます加速されて来ることが予想されますが、一方でこの動きを受けとめられるのは誰かと言えば、皆さんもご承知のとおり、世界でも数社しかありません。 我々全員が力を合わせて仕事の仕組みを改善し、QCD(品質Quality・コストCost・納期Delivery)を達成して行けば、当社がこの数社の中に入ることは決して難しくない、むしろ一番近い位置にいると言ってもよいと考えております。 皆さん方一人一人の会社に入った動機を振り返れば、車が好きで入った人、機械に興味があって、モノ作りに参加した人、世界をまたにかけて仕事をしたいと思った人、いろいろだと思います。 ところで、自動変速機は、先程述べた様に自動車の中で重要な役割を持ち、ある意味では、自動車の方向をリードする役目も果たして行かなければならないものです。 この様な役割を持つ自動変速機を扱うのですから、今日からは自動変速機を通じて、皆さんそれぞれの思いを実現すべく、ジヤトコ・トランステクノロジーを世界のトップメーカーに育てあげるために、同じ基盤に立って力を合わせて行こうではありませんか。 話は変わりますが、自動車はキント雲だと言った人があります。天女の羽衣、魔女のホウキ、魔法のジュウタン等、どの民族にも自分一人で自在に乗りまわせる乗物願望があり、これを満たしているのが実は自動車なんだ、という訳です。確かにクルマは空は飛べませんが、好きな時に、好きな所へ行くことが出来る、他には代え難い乗物であり、この特性を失わない限りは、いつまでも人類社会の中で愛用されると思います。 そして、タイヤと動力装置(エンジンであれ、モーターであれ)が残っている限り、我々のATも装着され続ける可能性があります。 勿論そのためには、変化する自動車に対して、常にQCDで満足できる商品性のあるATを我々が生み出して行かなくてはなりませんが、当社にはそのポテンシャルがあり、このことが当社グループで働く8,000人とその家族の皆さん、更には次の世代の人達へと生活の基盤を伝えて行くことにつながって来ると思います。 我々の活動は、これからますますグローバルになって行きます。すでに、ジヤトコ・トランステクノロジーグループとして、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、中国の人達が仲間として共通目的に向かって活躍していますし、その輪は次第に大きくなって参ります。 それに会わせて、会社の仕組み、仕事の進め方、目標の定め方など、いろいろ改善が必要であり、私としても機敏にその作業を進めて行く決意でおります。 皆さん方も、これまでの小さい所帯の良さは残しながらも、これからは世界に通用する、仕事のやり方、知識、教養を身につけて貰いたいと思います。 幸い当社には、ジヤトコ・トランステクノロジースピッリットがあります。この行動指針は正に世界で仕事をする時の心構えそのものでありますので、自信を持って身につけて行って下さい。 本日からは、会社も一つの基盤に、労働組合も一つの組合に、名実ともに融合しました。全員で力を一つに合わせ、当社発展の基礎を固め、充実した生活基盤を確保するという、共通の目的を達成するために、強い意志と行動で取組んで行くことを皆さんと共に決意表明して、私の挨拶とさせていただきます。 以 上 |