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2000年12月28日

2001年始業式 社長年頭挨拶について

自動車用変速機(AT・CVT)の専門メーカー、ジヤトコ・トランステクノロジー株式会社(会長兼社長:佐々木健一、本社:静岡県富士市、資本金:299億3,530万円)は、明年1月8日(月)に始業式を行います。当日式中において、佐々木から述べる予定の年頭挨拶を下記のとおりお知らせいたします。

1.新年挨拶
新年、明けましておめでとうございます。

そして、21世紀の幕開けを皆さんと共に迎えられましたことを大変喜ばしく思います。

皆さんには、ご家族とご一緒に、楽しいお正月をお過ごしになったことと思います。しかし一方では、年末年始休暇中にも拘わらず、生産や設備の保守保全、各種工事の立合い等により、多くの方々に休日出勤いた だき、無事本日を迎えることができました。関係各位には、心から感謝申しあげます。

また、本日は合併新会社として初めてのJTT表彰を行います。


このJTT表彰では、業績において多大な貢献をされた13件の方々を社長表彰、34件の方々を担当執行役員表彰、37件の方々を奨励賞として表彰します。

受賞された皆さんには、これまでのご苦労に対し、心からの敬意と賞賛を申しあげたいと思います。
2.2000年の振り返り
ミレニアムの昨年は、コンピューターのY2K問題への対応で幕を開けましたが、合併直後ということで、営業・開発・生産等各部門の基盤整備を完了させるとともに、NRPという逆風の吹く中で、新会社として初めての中期経営計画、年度事業計画、年度社長方針を策定し、その達成に取り組んできました。その結果、9月の中間決算では、予想を若干上回る着実な成果を挙げることができました。

新商品としては、VW向けのFF5速AT等を立ち上げました。またCVTシリーズや軽自動車用ATを中心とする新規商談も着々と進めることができました。

一方、4月には2地区に開設したBPセンターを拠点としてBP21活動をキックオフし、NRP要求をも包含する形で原価低減に取り組んできました。9ヶ月が経過した現在着実な成果が上がり始めています。

その他、4月には統合品質システムによりQS9000の認証を取得、12月には統合環境管理システムによりISO14001の更新審査を受審いたしました。


合併当年と同様に昨年も多くのイベントが重なり、一気に駆け抜けてきた1年間であったと思います。

皆さんのご苦労には、心から感謝申しあげます。
3.当社を取り巻く環境
(1)自動車市場
国内生産は、国内販売が景気回復の兆しや企業の収益改善等により緩やかに上昇し、中期的には台数を伸ばす反面、輸出が欧米の景気減退・海外生産への移行等により減少傾向となり、総じて、年1000万台レベルで推移するものと思われます。

中期的な海外総需要は、欧州や北米市場でほぼ横這い傾向が続きますが、アジア市場の急激な需要増加に助けられて、現状を維持しながら徐々に増加に転じるものと予想されます。


自動車メーカー各社は、燃費・排気ガス等の21世紀に向けた環境課題対応のために、メーカー同志の合従連衡や社内のリストラを推進しながら、部品メーカーに対し、厳しい環境技術対応や価格低減要求を通じ、世界最適調達を模索しています。

このような環境下で、部品メーカーは、真の競争力を身につけるとともに、将来の低公害車普及に伴う新たな事業領域を模索する必要が出てきています。
(2)AT市場の環境
日米のAT装着率が上限に近づく中、欧州の装着率は開花期を迎えており05年には20%強に達すると予想されていますが、アジアの需要増加と相まってAT市場では、需要の拡大が予想されています。

また自動車メーカーは、燃費・排ガス規制等の環境課題に対応するために、車両システムの開発に集中せざるを得なくなり、従来内製していたコア部品のATも専業メーカーから調達することを視野に入れ始めています。従ってAT専業メーカーには、需要増以外にも、相当規模のビジネスチャンスが訪れる可能性があります。つまりATビジネスは自動車部品の中でも恵まれた環境にあるということです。

(3)ATの構造変革期
ATは、地球環境への関心の高まりなどから構造的な変革期を迎えており、一層の多段化、CVT化が進展していくと思います。

一方では、ハイブリッドカー用に簡素化したAT開発、モータージェネレーター活用(IHAT・ISAT等)の開発が求められており、これらに対応できる先端技術開発力強化が急務となっています。

(4)当社の状況
このような激しい環境変化の中で、これをビジネスチャンスとして捕捉するため一昨年誕生した新会社ジヤトコ・トランステクノロジーは、合併1周年を過ぎて、着実に「営業力・開発力・生産力」の基盤を整えてきました。

その結果として、合併当初のトロイダルCVTを皮切りに、昨年のVW向けのFF5速AT、日産向け新FF5速ATなどの新機種も皆さんのご努力により無事立ち上げることができ、CVTや軽自動車用ATを中心とした新規商談も着実に進展しています。

しかし、競合他社との競争力比較やCS調査等の結果から見る限りでは、QCDにわたる更なるレベルアップがなければ、市場競争に勝ち残り会社拡大期を確実に捉えることは難しいとの結果が出ています。

また、昨年4月からスタートしたBP21活動では、一定の原低成果を挙げつつありますが、競合他社商品分析や顧客要望等から、進捗の更なる加速が必要となっていますし、顧客ニーズを先取りした商品体系の構築、自動車メーカーのグローバル化への対応等が急務となってきています。

4.2001年度の課題
01年度は、新機種が順次立ち上がる予定であり、気を抜くことなく万全の準備を整え送り出したいと思います。また、現在商談中のCVTシリーズや軽自動車ATの開発も目白押しであり、英知とチームワークをもって勝ち取っていかなければなりません。

そして、現在取り組み中のBP21活動を中心に据えながら、全社的な原価低減活動の一層の促進をはかりつつ、強固な原価体質・高収益体質の実現をめざしていきたいと考えています。そのためには、従来の発想を捨て、グローバルに生産や調達も考えるような視点が重要になってきます。

今年の特徴の一つとして、この様な海外での活動の活発化が挙げられると思います。従来の営業・開発部門に加え、調達・生産部門も大いに意欲的に取り組んでいただきたい。更に今年は中国市場に対する取り組みも避けて通れなくなってくるものと思われます。

こうした課題については、今後の01−05年度中期経営計画や01年度社長方針等の策定作業を通じて、具体化していきたいと考えています。
5.最後に
当社の企業理念は、「For a better tomorrow, for people and cars」をスローガンとし、Passion、Skill、Flexible and Speedy、Teamwork、Open and Fair という5つの行動指針を原動力として、「先進技術」、「高い品質」、「競争力ある価格」、「お客様の信頼」という4つのアウトプットを出していこう。

結果として「顧客満足」、「世界と共に成長」、「社会貢献」という目的達成に繋げようというものです。


皆さんは、仕事を進める中で「判断」「決心」を迫られる状況になった場合、必ずこれを思い起こし、勇気を持って取り組んでいただきたいと思います。

当社の本質は、個々のお客様専用のATを、共通部品を可能な限り使用して量産効果を挙げること。これが出来て、初めて当社の目標が達成され自動車メーカーを凌駕することができると思います。

目前のNRP対応などは、こうした大願の前では一つの通過点に過ぎないのです。21世紀の大いなる飛躍に向け、皆さんと共に志を大きく持って取り組んでまいりたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。

以 上